« 2013年2月 | トップページ | 2013年4月 »

2013年3月

2013年3月29日 (金)

映画 ザ・マスター ☆☆☆☆☆

■ THE MASTER 1012年 アメリカ 138分 (ミリオン座)

■ 監督・脚本 ポール・トーマス・アンダーソン

■ 主演 ホアキン・フェニックス  フィリップ・シーモア・ホフマン

 1303292

 

極度のアルコール依存で、強烈な性癖のあるフレディ・クエル。

他者への憎悪が、制しがたい暴力となってしばしば噴出する男。

演じるのは、不敵な面構えをもつ俳優ホアキン・フェニックス。

監督トーマス・アンダーソンの人物造型の確かさと、主演俳優の凄みが、

映画を観る者に圧力となって襲いかかる。昏倒させようとする。

               *

当然ながら観客の多くはフレディに共感しがたく、一方、スクリーン上の

彼は観客を拒否するような行動をとり続ける。ほとんどラストまで。

つまりは、なかなか共感できない映画なのだ。

しかし、大きな錨が、観る者の胸の底に沈んでいく。

               * 

映画は、観客に問うているのかも知れない。

お前はフレディ・クエルを理解できるか。否か。

受け入れられるか。否か。

それほど深い痛撃力を秘めた作品である。                                                

| コメント (0) | トラックバック (0)

映画 愛、アムール ☆☆☆☆★ 

■ AMOUR 2012年 フランス/ドイツ/オーストリア 127分

                                (ミリオン座) 

■ 監督・脚本 ミヒャエル・ハネケ

■ 出演  ジャン=ルイ・トランティニャン

       エマニュエル・リヴァ

        イザベル・ユペール 

1303291

「男と女(UN HOMME ET UNE FEMME)」(1966)

(「二十四時間の情事(Hiroshima monn amour)」(1959)

でのジャン、エマニュエルを知る人なら、感慨が深過ぎるために、

言葉にならないだろう。

わたしもその一人だ。

しかも、きびしく凝視し、描写するシネアストであるミヒャエル・ハネ

ケが監督した映画である。

容易に語ることなど出来はしない。

ただ、凝視するのみである。

 

| コメント (0) | トラックバック (0)

2013年3月27日 (水)

DVD リンカーン弁護士 ☆☆☆☆ 

■ THE LINCOLN LAWYER 2011年 アメリカ 119分

■ 監督 ブラッド・ファーマン

■ 原作 マイクル・コナリー

■ 出演 マシュー・マコノヒー  ライアン・フィリップ

  130328
 

ストーリーに緊張感が溢れ、シャープな演出の冴えが見られる映画だ。

しかも、冒頭とラストに使われる革ジャンバイク集団とのやりとりが、何と

もいえないウイットを感じさせ、陰惨な話をうまく救っているのも心憎い。

弁護士ミック・ハラー役のマシュー・マコノヒーもいい味を出し、御曹司を

演じる甘いマスクのライアン・フィリップも適役である。

               *

裁判そのものを扱った法廷映画は、これまで多くの秀作を生んできた。

しかし、この映画は、法廷外での弁護士の調査活動や、自身が立てた

弁護戦略の隘路におちいる様を描いた点で異色であり、しかもすぐれ

たサスペンス映画としても成功している、と言ってもほめすぎではない

ろう。

 

 

 

| コメント (0) | トラックバック (0)

2013年3月26日 (火)

DVD 至宝 ☆☆☆☆

■ IL GIOIELLINO 2011年 イタリア 110分

■ 監督 アンドレア・モライヨーリ

■ 主演 トニ・セルヴィッロ

 130326

「湖のほとりで」(2007)は味わい深い映画だったが、同監督の2作目

となるこの作品も、陰影をもった奥行きのある映画である。

                *

DVDには、「ある巨大企業の犯罪」と副題が付けられているように、

企業が生き残るために不正経理を行わざるを得ないプロセスを、「イ

タリアン・ノワールフィルム」とでも言うべきタッチで描いている点が特

徴だ。

それは、「穏やかな暮らし」 (2010)、「ゴモラ」 (2008)、「湖のほとりで」

(2007)に出演したトニ・セルヴィッロを会社の参謀役として主演させて

いるせいもあろう。

監督アンドレア・モライヨーリの資質もあるのかも知れない。

               *

東京と大阪では、毎年春に、「イタリア映画祭」なるものが開催されて

いるらしいが、「至宝」は2012年に上映されたとのことである。

名古屋での上映はできないものなのか。

ああ、DVDでなく、映画館でみたい。

 

 

| コメント (0) | トラックバック (0)

2013年3月25日 (月)

映画 千年の愉楽 ☆☆☆ 

■ 2012年 118分 (シネマスコーレ)

■ 監督 若松孝二

■ 原作 中上健次 

■ 脚本 井出真理

 130325
 

若松孝二の映画の命は、「虐げられし者の殺気」である。

そして同時に、「観る者を畏れさせる殺気」でもある。

しかし、この作品に、それは在ったのか。

説明的なセリフではなく、滾るような映像として在ったのか。

                                                
   

| コメント (0) | トラックバック (0)

2013年3月23日 (土)

DVD コブラ・ヴェルデ ☆☆☆☆★ 

■ COBRA VERDE(緑のコブラ) 1987年 西ドイツ 113分

■ 監督・脚本 ヴェルナー・ヘルツォーク

■ 主演 クラウス・キンスキー

 13032301


コブラ・ヴェルデの異名を持つに至った、瘋癲狂気に憑かれた男、

アフリカの奴隷斡旋に血道を上げる元山賊フランシコの物語。

                 *

物語に登場するのは、

顔に小さな瘤のある、冒頭の語り部の老人であり、

お喋りな傴僂で、辺境の酒場を営む若い男であり、

奴隷を使い捨て、銭金尽くで胴欲極まる農園経営者であり、

呪術師を重用し、華美な衣装と多くの女僕に囲まれた王であり、

四肢に奇形を来たし、野犬のように歩行するアフリカの奴隷男である。

                *

映画的ダイナミズムにあふれた、異形にして、輝きのある映画だ。

ヘルツォークは凄い。

クラウス・キンスキーは凄い

 

 

| コメント (0) | トラックバック (0)

2013年3月22日 (金)

DVD やがて哀しき復讐者 ☆☆★

■ 報應 2011年 中国/香港 97分

■ 監督 ロー・ウィンチョン

■ 製作 ジョニー・トー

 130322

1 アンソニー・ウォン演じる社長の、娘に対する愛情に共感できない 

2 娘の誘拐という重大事の緊迫感が全く伝わってこない

3 息子や土地買い占めに苦慮する部下のエピソードが生きていない

                *

 ないない尽くしで恐縮なのだが、上記の3点を挙げるだけでも、緊張

感が必要とされる香港クライム・フィルムとしては、残念な作品と言わ

ざるをえないだろう。

 

| コメント (0) | トラックバック (0)

2013年3月21日 (木)

映画 愛について、ある土曜日の面会室 ☆☆☆☆★

■ QU'UN SEUL TIENNE ET LES AUTRES SUIVRONT 

  2009年 フランス 120分          (名古屋シネマテーク)

■ 監督 レア・フェネール

■ 脚本 レア・フェネール  カトリーヌ・パイエ

 130321

繊細で、力強い傑作!

これが長編第一作とは信じがたいほどの映画に脱帽。

監督レア・フェネールに脱帽。

 

| コメント (0) | トラックバック (0)

2013年3月20日 (水)

映画 フライト ☆☆☆☆

■ FLIGHT 2012年 アメリカ 138分 (MOVIX三好)

■ 監督 ロバート・ゼメキス

■ 主演 デンゼル・ワシントン

 130320

危うい映画である。

デンゼル・ワシントンが演ずると、

アルコール中毒者の苦悩の映画になってしまう。

良心についての映画になってしまう。

そして、家族愛の映画になってしまう。

ああ、危うい。

 

 

| コメント (0) | トラックバック (0)

2013年3月18日 (月)

DVD 盗聴犯 死のインサイダー取引 ☆☆☆☆ 

■ 竊聽風雲 OVERHEARD 2009年 香港 100分

■ 監督・脚本 アラン・マック(麥兆輝) フェリックス・チョン(莊文強)

■ 出演 ラウ・チンワン(劉青雲) ルイス・クー(古天樂)

       ダニエル・ウー(呉彦祖)

130318

「インファナル・アフェア」三部作(2002~2003年)の同じ二人に

よる脚本・監督作品で、見応えある映画になっている。

                   *

出来のよいクライムドラマに仕上がっているのは、主演にジョニー

・トー映画で常連の俳優の三人を使っているためばかりでなく、流

なカメラワークが生み出す映像の美しさがあるためであろう。

加えて、ある場面のある画面に出てくるものが、後半の伏線として

巧みに生かされているからでもある。

                  *

昨年、東京と大阪で単館上映された作品のようだが、DVDでは

惜しいかぎりだ。

ぜひ、名古屋のスクリーンでも、観客を喜ばせてほしかった。

 

 

| コメント (0) | トラックバック (0)

2013年3月13日 (水)

映画 燃えよ!じじぃドラゴン 龍虎激闘 ☆☆☆☆

■ 打擂台 2010年 香港 96分 (シネマスコーレ)

■ 監督 デレク・クォック  クレメント・チェン

 130313

齢を重ねてもなお、俊敏な動きを見せるクンフーたちがとてもいい。

とくに、ブルース・リャンという人の体裁きは見事だ。

外見はずんぐりとしていて、どこにでもいるようなオッサン老人なのだが、

格闘シーンになると、見違えるほど表情が引き締まり、動き続ける。

人を食ったような怪演を見せるテデイ・ロビンという人も個性的だ。

背は低く、大きな目玉をギョロつかせながら、武館の師匠役を生き生きと

演じているのが可笑しく、映画館の観客から何度も笑い声が上がった。

               *

格闘シーンは凄くても後味はよくない作品が多いこの頃、

ほのぼのとした印象を残して終わるこの作品が貴重に思えてくる。

 

余談ながら、上映館からは、希望者に同映画のポスターがサービスで

配られるというオマケまで付いた。

 

| コメント (0) | トラックバック (0)

2013年3月12日 (火)

映画のけしはん 用心棒

  2013_311_web

劇場公開は1961年。

 

日本時代劇映画史上、「用心棒」の右に出るものは、未だ、ない。   

 

                *

 

ただ、惜しむらくは、主人公三十郎の台詞が、きわめて聞き取りにくい。

 

日本語字幕版が発売されるべきだ…ずいぶん前から、私はそう思っている。 

 

  
   

 

| コメント (0) | トラックバック (0)

2013年3月11日 (月)

映画 東ベルリンから来た女 ☆☆☆☆★ 

■ BARBARA 2012年 ドイツ 104分 (名演小劇場)

■ 監督・脚本 クリスティアン・ペツォールト

■ 主演 ニーナ・ホス

 130311
 

 バルバラを演じるニーナ・ホスの圧倒的な存在感。

 凛冽さを感じさせる透徹した演出の素晴らしさ。

 30余年前の東ドイツに生きる人々の境涯が、陰影際やかに刻まれた傑作!

 
 
 

 

| コメント (0) | トラックバック (0)

2013年3月10日 (日)

お酒のラベル けしはん

  20130311

  自家製の梅酒を、小びんに分けました。

  そのラベルです。

  梅にはウグイスなのでしょうが、

  梅酒を飲むのによい季節は初夏。

  そう思う私は、ツバメがふさわしい、と。                                         

 


| コメント (0) | トラックバック (0)

2013年3月 9日 (土)

映画 奪命金 ☆☆☆☆

■ LIFE WITHOUT PRINCIPLE 2011年 香港/中国 106分 (ピカデリー)

■ 監督 ジョニー・トー

■ 出演 ラウ・チンワン  

 1年半前の2011年10月に、香港に旅行したことがある。

 繁華街にある映画館の前を通ったときに、「奪命金」の
ポスターを見た。

 監督名は杜琪峰。

 日本ではいつ公開されるのだろうか。そのときから、楽しみだった。

 

 1303091
            

                 *

 そして、今日は、名古屋での公開初日。

 初回の観客が20~30人ほどで始まった本編は、

 派手な銃撃シーンこそないが、さすがジョニー・トーだと思わせる

 スリリングな映画に仕上がっていた。

 金融相場の乱高下に翻弄される、市井の人たちの人生。

 町の金貸し撲殺事件によって動き出す、三者三様のドラマの交差。

 映画の切れ味に酔う106分だった。 

| コメント (0) | トラックバック (0)

2013年3月 6日 (水)

映画 ジャンゴ 繋がれざる者 ☆☆☆☆

■ DJANGO UNCHAINED アメリカ 165分 (三好MOVIX)

■ 監督・脚本 クエンティン・タランティーノ

■ 出演 ジェイミー・フォックス クリストフ・ヴァルツ

       レオナルド・ディカプリオ サミュエル・L・ジャクソン

 

130306

 

タランティーノの映画センスの良さが際立つ作品だ。

カットを巧みに積み重ねるセンスといい、

場面転換での音楽の入れ方のセンスといい、

映画少年タランティーノのまさに独壇場。

嬉々として映画を撮っていることが伝わってくる。

           *

嬉々としているのは、出演者たちも同じ。

とくに、悪役の二人のノリがいい。

ディカプリオと、サミュエル・L・ジャクソンは、

悪の権化ともいうべき卑劣な人物たちを憎々しげに演じて、

実に嬉しそうである。

          *

血しぶき飛ぶハードバイオレンス映画の悪役は、かくありたいもの。

ノリノリの怪演があってこそ、タランティーノ映画は輝く。

 

 

 

 
      

| コメント (0) | トラックバック (1)

2013年3月 5日 (火)

DVD アイアン・スカイ ☆☆☆★

■ IRON SKY 2012年 フィンランド/ドイツ/オーストラリア 93分

■ 監督 ティモ・ヴオレンソラ

 130305

 

設定粗筋  奇想天外。荒唐無稽。

 

特殊効果  巧妙精緻。洗練上質

 

作劇視点  軍国風刺。揶揄皮肉。外交欺瞞。独善嘲笑。

 

 

 

| コメント (0) | トラックバック (0)

« 2013年2月 | トップページ | 2013年4月 »