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2013年1月26日 (土)

映画 みなさん、さようなら ☆☆☆

■ 120分 (センチュリーシネマ)

■ 監督 中村義洋

 1301261

この映画の面白さは、主人公である悟のアイデンティティ-が団地その

ものである、という点である。

                  *

登場人物がちらりと見せる表情や、ふと吐く言葉に、妙に生々しさがある。

それは活気の薄い、普段は内側に押し込められてる得体の知れない感情

が、その人間の身体を使ってふう-っと現れた、とでも云うような生々しさだ。

ケーキ屋店主の泰二郎(ベンガル)も、隣に住む同い年の波瑠も、

団地の最後の友人憲明も、憧れの少女の早紀も、皆そうだ。

彼らに殊更の悪意があるわけではないが、それは悟をはぐらかすことになる。

やがて、彼らは団地から、そして悟から去って行く。

小学校の教室での別れの挨拶言葉であった「みなさん、さようなら」は、

団地から去りゆく者の、残った悟へのグッドバイになった…。

は、「さよなら」と、10年以上、いや20年近くずっと言われ続けてきたのだ。 

                 *                 

そして、母の急死。 

悟は団地を出る。 

その時、「みなさん、さようなら」の意味が、不意に反転する。 

別れを告げる主体が、悟に移るのだ。

最も自分を理解していた母と、さよならすることによって、 

やっと新しい世界、「世間」に踏み出すことができる悟。

これまでの古いアイデンティティ-に、団地に、団地の生活に、

さよなら。さよなら。

駅に向かって歩く悟の姿を映しながら…エンドロール。

しかし、その足取りは、果たして確かなものなのか、どうか…。

 

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